スポンサード リンク
蔦温泉、八甲田の東山麓に位置する深いブナ林に囲まれたこの宿にある日旅人が宿をとりました。
彼の名は大町桂月、明治期に随筆家として名をなし、旅と酒をこよなく愛した人です。
以来桂月は蔦をいたく気に入り、ここで酒と湯治の日々を送り、この地に骨を埋めることになります。
蔦温泉の浴槽から湧く湯は肌にやさしい無色透明のお湯、底板の隙間からぽこりぽこりと妙なる音を奏でながら湧いてきます。
天井を見上げると頭上を走る太い柱、青森は青森ヒバで有名ですが、蔦の建物にもヒバとブナがふんだんに用いられています。
また、蔦温泉のお湯は手術後の後遺症に効くということで知られていますが、人の心を捉えて離さないのはなんといってもお湯が奏でる音にあるのではないでしょうか。
井上靖は蔦のお湯を「泉響颯颯」と詠みました(旅館に色紙が飾ってあります)が、よく耳を澄ませるとやはりサッサァーとお湯が湯船から流れ落ちているように聞こえてくる・・・。
宿の周辺には一時間ほどの散策コースもあり、要所要所には三脚を携えたバードウォッチングファンの姿も散見されます。